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肝炎のメカニズム

肝炎は、びまん性の肝の炎症で、その80%が肝炎ウィルスによって発症します。

 

肝炎の病型には、発症から4〜6週間で完治する「急性肝炎」と、
6ヶ月以上の肝機能異常とウィルス感染を維持する「慢性肝炎」があります。

 

ウイルス性肝炎

ウィルス性肝炎は、ウイルス自体が肝細胞を破壊するのではありません。
肝臓に侵入した肝炎ウイルスに対して体内の免疫システムが働き、
ウイルスが定着している肝細胞を破壊してしまうことによって起きるものです。

 

肝炎ウィルスには、5種類(A型、B型、C型、D型、E型)のウィルスがありますが、
急性肝炎のみを発症するのはA型とE型、B型とC型、そしてD型は慢性化することがあります。

 

特に注意が必要なウィルス性肝炎は、C型肝炎の慢性化と、B型肝炎の劇症化です。

 

ウィルス性肝炎の治療は、急性肝炎から慢性肝炎への進展阻止、
肝硬変から肝ガン・肝不全への進展阻止を目的に行われます。

 

他には、自己免疫性肝炎、薬剤やアルコールが原因になる肝炎があります。

 

自己免疫性肝炎

自己免疫性肝炎は、中年以降の女性に多く、慢性に経過する肝炎で、
自己抗体の関与によって肝細胞が傷害されるために起きると考えられています。

 

薬剤性肝炎

薬剤性肝炎は、薬剤が直接的に肝細胞に炎症を生じさせる場合もありますし、
薬剤の代謝過程で肝細胞障害を生じる場合もあります。
また、アレルギー性に炎症が生じる事もあります。

 

代謝や解毒機能を担う臓器である肝臓は、様々な酵素を合成しています。

 

肝臓に炎症が起きることにより、AST(GOT)とALT(GPT)が発症初期から血液中へ逸脱し、
高値を示すようになります。

 

急性肝炎では、通常AST(GOT)、ALT(GPT)の順に下降し、約2ヶ月ほどで正常化します。

肝炎を示す検査値と、その他の重要所見

肝炎を示すと、AST(GOT)、ALT(GPT)、LDが高度に上昇します。

 

また、ALPやγ-GTPが、軽度〜中等度上昇します。

 

値が下降するのは、AlbとChEです。

 

その他、重要な所見としてみるべき検査値は、
HAV抗体(lgM-HA抗体)、HBs抗原、HBe抗原、
HBV抗体(lgM-HBc抗体、HBe抗体、HBs抗体)、
HCV抗体、HDV抗体、HEV抗体があります。

肝炎の診断のカギとなる検査値はAST(GOT)、ALT(GPT)、ChE

細胞が破壊されたときに血中に逸脱して血中濃度が上がる、
代表的な逸脱酵素にAST(GOT)とALT(GPT)があります。

 

AST(GOT)は、心筋や骨格筋などにも存在するので、
ALT(GPT)の値と併せてみることが大切です。

 

肝炎であれば、AST(GOT)とALT(GPT)は揃って高値を示します。
ですが、例えば、AST(GOT)は高くても、ALT(GPT)が低い場合は、
肝臓以外の臓器の障害である可能性も高くなります。
AST(GOT)、ALT(GPT)の値は、細胞がどの程度壊れているかを示すものなので、
肝臓機能そのものの障害を示す値ではありません。
肝臓は実質細胞が3〜4割程度残存すると、その機能は保つことができます。

 

肝機能については、肝臓が何をしている臓器か、どのような働きをしている臓器であるかを考えることが大切です。

 

たんぱく質を初めとする物質の合成や代謝などを行っているのが肝臓ですから、
タンパク合成能が低下するとChEの値は低くなります。
このChEや、アルブミン、総コレステロール値などによって機能を評価し、
これらの数値が低下していれば肝機能が低下していると判断します。

 

AST(GOT)やALT(GPT)はあまり高い値ではないのに、
ChEやアルブミンが明らかに低下している場合は、
肝疾患はかなり進行していて、肝硬変へ移行していると考えれます。